空を歩く

パップー君が住んでいる小さな星*4

 いろんな木を見上げながらゆっくり歩きました。
 村から森をぬけるのですが、なかなか木によばれません。
 もう、その丘をこえると“ただそれだけのかべ”が見えてくるというそのてまえの、せせらぎまできました。すこし、かたをおとしてパップー君は思いました。
(ぼくを呼んでいる木はないんだろうか・・。)
 その時、丘の上に立つ1本のナギの木が目にはいりました。
「あっ!」
 そういってパップー君はかけだしました。
「いたいた!この木だ!ぼくの木!」
 それはいつもとおる丘にめじるしのようにはえているすてきなナギの木でした。
「そうか、これか。」
 うなずいて、大きなナギの木を見上げて、目でなぞってみました。
 大きくて大きくてとてもきれいで、そういえばうっとりするくらいです。
 パップー君はとても手のまわりきらない幹にだきつきました。目をとじてしばらくそうしていました。
 夕方の風がふいてきて、とおくにいちばん星がひかりはじめました。
 パップー君はすこしはなれてすわると、もう一度ナギの木を見上げました。いつの間にか風の音もきこえないような気がしました。
 じぶんがナギの木になって、土から水をすいあげているような気がしました。星もない黒い宇宙に、ナギの木になってうかんでいるようでした。
 気がつくとまわりも真っ暗で、星がふってくるようにまんぱいでした。
 パップー君は明るいかおで立ち上がりました。
 パップー君はこのいつも見なれていたナギの木が、パップー君のことを好いていてくれたのがはじめてわかって、とてもしあわせなきもちになったのです。
 ぼくにはこの木がいる。そして、そんな木はほんとはあちこちにいる。
 パップー君にはとてもよくそう思えて、元気よくかけだしていきました。
 星がおっかけてくるようでした。
 ふたつある月が、とてつもなく大きくぽっかりとうかんでいました。

 おわり
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by ben-chicchan | 2005-05-09 17:32 | story
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