空を歩く

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夏の王国

そびえはだかる
雲の城塞

あの向こうに名も知らぬ王
おわします

曇りを知らぬ
底抜けの晴天

王の威信を知らしめる

翼を持つ大気の白馬に引かれ
積乱の城は建立され

やがて茜の夕将軍に
解体され
天のしじまに還ってゆく

天高く雲高く涼風吹こうとも

あの雲の峰を門とした
あの夏の王国
忘られぬ
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by ben-chicchan | 2005-08-18 16:02 |

さんげの喪服

何十世紀にも渡る
さんげの喪服を
だれもかれも知らず
まとってきた

地層のようなその黒い枷は

重いがために
着ていることすら忘れ
つらくて腹を立てたりした

そうして目の前の兄弟をゆるせず
ゆるせない自らをゆるせず
さらに厚く着込んでゆく

でも待て
たった今
なにもかもをこえて
なにもかもをゆるす
源からの“許可”をえらぶなら

瞬時にこの服は真珠色となり
業は燃え
灰の香り立ち昇る

さんげすることも
ゆるすことも

ゆるやかに共存し

今ここに陽を浴びて
あたえられている

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by ben-chicchan | 2005-08-16 09:17 |

夏の夜

杜で
奏でられる弦の音にのって
星の道のりを
たどった

150億年前にバンした水素とヘリウム
炭素となり
マグネシウムになり
DNAを抱き
あるきだす

やっと
目が
ひらかれ始めた
自分が星であること
気づき始める

はるか
星屑への道のり

たどっている
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by ben-chicchan | 2005-08-08 18:06 |

夏の午後

しばらく行方不明
犬のポーシローと
トランシーバーは持っては出たが
なにしろこっちに受信機がない

あいつは今頃
あの赤いツバのない帽子を
人の波に浮かばせて
プカプカと都会を泳いではいるだろう

いつも
夏のこんな暑い日なんかに
軒のブドウ棚の方からひょっこり
あいつは帰ってきたりした

まるで
角のタバコ屋に
行ってきたように

風鈴がなるとあいつかと思って
起き上がるクセを
直せないでいる
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by ben-chicchan | 2005-08-05 15:32 |