空を歩く

<   2007年 08月 ( 1 )   > この月の画像一覧

ハ−ティ & ダーティ〜5〜

 ひろばではダーティはあいかわらずだれもあいてにしてくれませんでしたが、もうあまり気にしませんでした。
 だってほんとにそんけいできるともだちができたから。
 じぶんがいじめられてつらかったからこそつらいもののためにそのありったけのやさしさをプレゼントすることができるなんて。
「つよくてかっこいい。」
 ひとりでうなずくのでした。
 そしてハーティったら、じぶんがつよくてかっこいいなんてこれっぽっちもおもっていないのでした。
 ダーティはほほえみました。
 ハーティのことをかんがえると、むねがあったかくなるのでした。

 ひろばにこどもたちがかけてきました。
 男の子たちは手に手に石をにぎっていて、ハトにむかってなげつけます。
 ハトはそうやすやすとはあてられませんが、ひとりの男の子がはねにきずがあってうごきのにぶいスカーに目をつけました。
「あいつをねらえ。あいつならおとせるぞ。」
 ダーティはビックリしてとっさに男の子の目のまえへととびました。
「わあ!」
 ハトにおそわれておどろいた男の子はしりもちをつきました。そのすきにスカーはとおくへにげました。
 そのあとおおいそぎでダーティも男の子からはなれました。
 いちょうの木のてっぺんのえだにとまってダーティはいきをととのえました。
 そこへブラウニーがやってきました。
「ダーティ。」
「ブラウニー。」
 ずいぶん久しぶりのことでした。しかも、ブラウニーの方からちかづいてきたことはいままでいちどもありません。
「いま、スカーをたすけたろ?」
 ダーティはてれくさくてへんじをしませんでした。
 そこへスノーもやってきました。
「ぼくも見たよ。にんげんにたちむかうハトなんてふつういないよ。」
「そうさ。どういうことだい?こないだはあやまるし。そんなこといままでなかったろ?」
「ともだちのおかげさ。」
 ダーティはハーティのことをはなせるのがうれしくてはねをふくらませました。
「へええ。かわったカラスだ。」
「だけど、たいしたカラスだ。」
 3羽ははじめておなじことで、ならんであったかくわらいました。
 その日からダーティはブラウニーとスノーとともだちになりました。
 上からふみつけていうことをきかせていたときよりもずっとたのしいことにダーティは気がつきました。
 
 いつもいっしょにいるようになった3羽でしたが、ある日ダーティはまたハーティがおいかけられているのを見ました。
「ブラウニー、あれがハーティだ!」
 おりていったところではにんげんから石をなげられました。
「だいじょうぶか!ハーティ!」
「やあ!だいじょうぶだよ!ともだちかい?」
「ブラウニーとスノーだ。」
 4羽はけやきの大木にとまってはじめてのあいさつをかわしました。
「きいたよ。ハーティはカラスなのにとってもやさしいんだってね。」
 ブラウニーがいうのにハーティはこまったようにくびをかしげました。
「カラスらしくないってよくいじめられるんだ。」
「あっ、ごめんよ。」
「いいんだ。きっとぼくはぼくだから。」
「ハーティはハーティさ。ほかのなんでもない。」
 ダーティがむねをはっていいました。
「ハーティはなにすることがいちばんすき?」
 スノーがききました。
「うーん。ぼくは赤ちゃんとはなすことがすきだな。いちどでいいから赤ちゃんのほっぺにさわってみたい。」
 ダーティとブラウニーとスノーはかおを見あわせました。
「それはむつかしいな。」
「うん。だからまだできたことない。」
 だけど、そのとき3羽はおなじことをかんがえていたのでした。
(ハーティに赤ちゃんのほっぺをさわらせてやろう。)

 To be continued…
[PR]
by ben-chicchan | 2007-08-02 20:38 | story