空を歩く

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ハーティ & ダーティ〜6〜

 作戦(さくせん)をかんがえました。
 赤ちゃんのそばにはかならずおかあさんやおとうさんがいるから、ほんのすこしのあいだだけでもはなれてもらわなければならない。
 それには3羽で気をひくようなことをすればいい。
「うまくいくかな?」
「やってみるさ。」
 公園のベンチでランチをひろげている親子がいました。
 赤ちゃんがまんなかできげんよくわらっています。
 まず、ダーティがおとうさんのそばをとびながらひろったコインをおとしました。
 コインははじける音をたてて石だたみの上で光りました。
「なんだ?なにか上からふってきたぞ?」
 たしかめにいくおとうさん。
 すかさずおかあさんのかかえていたランチボックスからサンドイッチをくわえてとんだのはブラウニーでした。
 おかあさんはあわててブラウニーをおいかけました。
「いまだよ!」
 スノーがさけびます。
 ハーティはベンチの赤ちゃんのそばにまいおりてあいさつをしました。
「こんにちは。ごきげんだね。ママとパパとピクニックかい?」
「うん。ママもパパもにこにこだよ。ぼくもうれしいよ。」
「きみのえがおをみてるとこっちもうれしいよ。きみのそのふわふわのほっぺにそっとさわれたらもっとうれしいな。」
「いいよ。」
「ありがと!」
 そういってハーティは赤ちゃんのほっぺにそっとふれました。
 赤ちゃんはたのしそうにわらいました。
「えへへ。くすぐったい。」
「げんきでね!大きくなるんだよ!」
 ハーティがまいあがったのと、おとうさんとおかあさんがかけもどるのとがいっしょでした。
 おとうさんとおかあさんは赤ちゃんがにこにこしているのを見てあっけにとられました。
 そしてつられてわらいました。
「この子はカラスがこわくないんだ。」
 しあわせそうにわらう家族(かぞく)からはなれて高くまいあがりながら、ハーティはこころがぬくもっていきました。
「ダーティ、スノー、ブラウニー!ありがとう!」
 だれかがよろこぶことがこんなにたのしいなんて!
 たのしいことはまたやりたくなります。
 こんどはブラウニーとスノーが計画(けいかく)をおもいつきました。
 ハーティにもつたえます。
 こんどはその3羽で作戦をねります。
 ダーティがいちばんよろこぶのはブレンディがふりむいてくれること。
 だけどこの3羽、ほんとにブレンディをただふりむかせることしかおもいつかなかったのでした。
「ブレンディ!」
 3羽がいっせいによびました。
「ばか!」
 ダーティはおどろいてかたくなって、立ちんぼうです。
 ふりむいたブレンディが目にしたのは、大きなカラスとダーティたち3羽でした。
「こんどはカラスもいっしょにだれをいじめるの?」
「ちがうよ。ブレンディ。ダーティはぼくをたすけてくれたんだ。いじめられてゴミばこにおとされてうごけないぼくにたべものをはこんでくれた。」
 ハーティがそういってブレンディは目をまるくしました。
「そうさ。オレが石をあてられそうになったとき、からだをはってたすけてくれたさ。」
「スカー!」
 いつのまにかスカーが木のえだにとまってこちらを見ていました。
「いや、あの、その・・。」
 ダーティはおかしいほどどぎまぎして、ことばになりません。
「オレたちはほんとのともだちになったんだ。」
 ブラウニーがいいます。
「だからぼくらはダーティをおうえんしてるんだ。」
 スノーもいいます。
 しばらくあきれたようにきいていたブレンディはようやくつぶやきました。
「みんなしてなんなの?そんなにダーティのことがすきなの?」
 ダーティをのぞいた4羽がうなずきました。
 ブレンディはやっとおかしそうにわらいました。
「あんなにきらわれてかっこわるかったダーティがいまはこんなに人気者なの?」
「だからいっしょにとんでやってくれないか?」
 ハーティがそっとやさしくつけたすと、ブレンディはわらってうなずきました。
「わたしだってしってるわ。ダーティはかわったわ。いまのダーティはかっこいいわ。」
 そしてふたりは公園のふんすいのほうへとならんでとびたっていきました。

 おわり
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by ben-chicchan | 2007-09-08 12:40 | story