町のひろばにはハトがたくさんいます。
太ったのや小さいのや色がまじったのや白いのや、それこそいっぱいのハトがくらしています。
なかでもひときわりっぱな灰色のハトがむねをはってあるいていました。
「オレさまのはねほどきれいなはねをもつハトはこのひろばにはいないな。みろよ、あのちっこいやせたやつのかっこわるいこと。」
ダーティとよばれているそのハトはひとりふんぞりかえってみんなをみくだしながらあるいているのでした。
ダーティには好きなハトがいました。
ブレンディです。ブレンディは白いはねと灰色のはねがきれいにまじったすてきなハトでした。
ダーティはブレンディにふりむいてほしくて、わざとむねをはってあるいているのです。
だけど、ブレンディはちっともダーティのことを見てくれません。
「なにか目立つことをしないとだめだな。」
そうかんがえたダーティは、ほかのハトにけんかをうって勝つ(かつ)ことをおもいつきました。
「オレがどんなにつよいか見せてやろう。みんなにきらわれてるあのめざわりなきたないはねのやつがいい。」
ダーティはきずをおってばさばさとふぞろいなはねのぶかっこうなハトに目をつけました。
スカーでした。
そうきめるとダーティはまえからいじめていた茶色いはねをもつブラウニーと小さな白いハトのスノーにてつだわせました。
スカーがひろばにこぼれおちているポップコーンをついばもうとするところを大きくスノーにはばたかせてじゃまをします。
そしてスカーのポップコーンをブラウニーとよこどりします。
スカーがめんどうになってちがうところにとんでいっても、おいかけておなじようにじゃまをしました。
さすがにスカーもあたまにきたようで、おおきくはねをふくらませてグッポーグッポーとなきはじめました。
ダーティとスカーのふたりははねをひろげておたがいをにらみあいながらぐるぐるまわりはじめました。
ひろばのハトたちがあつまってきます。
ブレンディもいます。
スノーがはばたいてスカーの気をひいたスキにダーティはスカーのおしりをつっつきました。スカーはふいをつかれてあわててとびたちました。
ダーティはいっそうはねをふくらませてとくいそうな声をあげました。
みんながいってしまいます。ブレンディもむこうへいってしまいます。
ダーティはあわててブレンディをおいかけました。
「見たかい!あいつのあわてたかお!」
ブレンディはふりかえっていいました。
「あなた3羽がかりでスカーをいじめたわね。さいてい!」
ダーティはびっくりして立ちどまりました。
ほかのハトたちを見ても、だれもふりかえりません。
スノーもブラウニーもいってしまいます。
「まってくれ!スカーはきたなくてみっともないやつだってみんなきらってたじゃないか!スノーだってそういったろ!」
「だってそういっててつだわないとダーティはぼくをいじめるだろ。もうすんだからいくよ。」
「ブラウニー!」
「オレ、ほんとはやりたくなかったんだ。じゃあな。」
ダーティのまわりからはひろばのハトたちはきれいにいなくなりました。
あれからブレンディはおろか、だれもあいてにしてくれません。
ふくよかだったダーティはあまりたべなくなり、ひろばのすみのベンチでたったひとりじっとしているようになりました。
To be continued …