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空を歩く

ハーティ & ダーティ 〜4〜

 ダーティは町をとんでハーティをさがしました。
 あのあと、ゆうきを出してスカーとスノーとブラウニーにあやまりました。
 まだ、ほんとのともだちにはなれていないけど、3羽ともダーティがあやまるのにおどろいていました。
 まだブレンディのそばにははずかしくていけません。
 もういちどハーティに会いたいとおもって、会ってありがとうといいたくてダーティは町をとびました。
 だけど、どこにもハーティのすがたはありません。うっかりちがうカラスにちかづいておいかけられたりしました。
「この町にはもういないのかな?もう2度と会えないのかな?ハーティ。」
 そうしてとびまわって何日かしたころ、ダーティはなかまにおいかけられる1羽のカラスを見ました。
「ハーティ!」
「こっちへくるなダーティ!」
 そういってハーティはダーティからさらにはなれていきます。
 何羽もいるカラスにはかないません。
 ダーティはひくいところをずっとはなれずについていくことにしました。
 おいつかれて何羽にもつつかれて、ハーティは教会(きょうかい)のほうにおちていきました。
 ダーティはおもいきりとびました。
 教会のうらのゴミばこの中に、ハーティはきずついておちていました。
 なかまたちは大声でわらうといってしまいました。
「ちくしょう!なんてことするんだ!ハーティだいじょうぶか!」
 ハーティは小さくへんじをしました。
「うん。」
 ゴミばこの中でハーティはうごけません。
「きっとあいつらこらしめてやる!」
「ダーティ。」
「うん?」
「ありがとう。でも。いいよ。」
「なんで!ハーティはくやしくないのか!あんなやつらよりずっとハーティのほうがりっぱなカラスだ!」
 ハーティはからだをふるわせました。
 ダーティは気がついていいました。
「わらってるのか?」
「うん。」
「いたいだろ?」
「いたくないさ。」
「だってこんなにきずついてる。」
「だけど・・、むねはいたくないさ。」
「・・。ハーティ。」
「きみ、しってるだろ?からだのいたみよりむねのいたみのほうがつらいって。むねさえいたくなけりゃ、たいがいのことはへいきさ。きみのおかげだ。きみがそこにいてくれるから。いたくないんだ。」
 ダーティはまたなみだのつぶをこぼしました。
「ダーティはなきむしだなあ。」
「おまえのせいだ。オレはないたことなんかいままでいちどもなかったんだ。」
 ダーティはハーティがとべるようになるまで毎日ゴミばこにたべものをはこびました。
 何日もたって、ようやくとべるようになったハーティとダーティのふたりは教会のてっぺんの十字架(じゅうじか)の上にならんでとまりました。
「ここにはよく、うまれてまもない赤ちゃんがやってくるんだ。」
「にんげんの?」
「うん。なんでだか、いちどきいたことがある。」
「赤ちゃんに?」
「うん。にんげんはどうしてか赤ちゃんのときはぼくらと口をきいてくれる。大きくなるとそれはわすれちゃうけどね。」
「ふーん。」
「ここにはかみさまってのがいて、そのかみさまとはなしをするためのたてものなんだって。」
「なんのはなしをするんだ?」
「どうしてうまれてきたかをおもいだすためにここへくるらしい。」
「へえ。きみはどうおもう?どうしてうまれてきたんだとおもう?」
「ぼくは・・。わかんないけど、ないていただれかがわらうのをみるとうれしくて、きっとそれを見にうまれてきたんだっておもうことがある。」
「ハーティ。」
「うん。」
「きみはほんとにつよいとりだ。」
「なんのことだい?」
「オレはみためがかっこよくて、力がつよいのがえらいんだとずっとおもってきた。だけど、ほんとはそうじゃなかった。」
「へえ。」
「オレはかっこわるかった。ふんぞりかえってだれのいたみにも気がつかなかった。おまけにとてもよわかった。みんなをおしのけていちばんになりたがった。それがうまれたわけだとずっとおもってた。」
「そうかい?でもそんなこというきみはかっこいいよ。」
 ダーティはそれをきいてわらった。
「きみがいてくれるからだ。こんなことをいえるともだちはいままでいなかった。」
「ぼくはとてもよわいんだよ。いじめられてもやりかえせないし、いつもひとりだ。」
「いいや。ひとのいたみをほっておけないのがいちばんつよいんだ。ひとりでむねのいたみをかかえてだれにもそのつらさをぶつけないのはつよくなくちゃできない。オレはじぶんがいたんでみてそれがはじめてわかったよ。」
「じゃあ、ぼくはうまれてきてよかったんだね。じぶんはやくたたずだとおもってた。」
「なにいうんだ。オレをたすけてくれたのはハーティなんだ。だれの上にもならずにいちばん下でささえてるのがほんとはいちばんつよいんだ。オレはきみをいじめたカラスのことおこったけど、ほんとはおんなじことしてきたさ。はずかしいよ。ずっといいたくてさがしてたんだ。ありがとう。」
 ふたりはゆうやけをあびながら、見つめあってわらいました。

 To be continued ‥
by ben-chicchan | 2007-07-11 14:41 | story
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